2007-01-01から1年間の記事一覧

三津田信三『禍家』

三津田さんの作品の中では、たしかに解説で千街さんが書いているように入りやすい、のかもしれない。禍家 (光文社文庫)作者: 三津田信三出版社/メーカー: 光文社発売日: 2007/07メディア: 文庫 クリック: 22回この商品を含むブログ (44件) を見るだが、逆に…

台風がっくし

せっかくの三連休だから、やんなきゃなんない仕事もあるんだけどちょっとは時間を作って海に行こう! とずっと思ってたのに……。台風かよっ。えーえー仕事がはかどりますよー。 いまは、愛川さんや倉阪さんの書き下ろしのほかに、9月に刊行予定の「史上最悪…

三津田信三『禍家』と鳥飼否宇『異界』

お二方の新刊をいただきました。ありがとうございます。禍家 (光文社文庫)作者: 三津田信三出版社/メーカー: 光文社発売日: 2007/07メディア: 文庫 クリック: 22回この商品を含むブログ (44件) を見るこれは文庫書き下ろしですね。解説は三津田さんに前々か…

クレイトン・ロースンと本格落語ミステリ

ああ。ご無沙汰してしまいました。 クレイトン・ロースン『虚空から現れた死』(Death Out of Thin Air by Stuart Towne)がやっと先週終わり、これから印刷してだいたい25日くらいから本屋さんに並び始めると思います。 ここでは2つの中編は収録されてい…

桜庭一樹『赤朽葉家の伝説』

遅ればせながらなんだけど、この日本推理作家協会賞受賞作を読了。いやほら、来週はこれの受賞パーティもあるしさ。この物語は大きく三部に分かれていて、それぞれ「おばあちゃん」「おかあさん」「わたし」が山陰と製鉄をめぐる時代を舞台に生きていく話に…

今週は全力疾走だったさ

今週はほとんど、来月から刊行が始まる シリーズ絵解き世界史 第1巻 『アレクサンドロス大王の野望』(N・マッカーティ/本村凌二監修) という本にかかりきりだった。ひっさしぶりのフルカラーだし、これから5冊が続くしで、これまでにない緊張に包まれま…

今日の読売新聞に『首無』の書評

おかげさまで版を重ねている三津田信三『首無の如き祟るもの』ですが、 こんどは読売新聞に書評が出たさ。 ……完成度でとくに目を引く。(中略)精緻な伏線から導かれるトリックの見事さに心酔した。超常現象と見まごう不可能犯罪を合理的推理のもとに解き明…

貫井徳郎『夜想』

夜想作者: 貫井徳郎出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2007/05/30メディア: 単行本 クリック: 47回この商品を含むブログ (51件) を見る読者に重く現実的なテーマをぶつける。そのテーマがストレートじゃなく譬えると分身魔球のようで、だから読者はけっこう…

ばたばたと走り回ってもう……

仕事の間を縫って野球をしてみたり蛇をみつけてみたり今年初のクワガタを捕まえてみたりと、夏がじわじわと近づいてきた。その前にゲラがびろーんと伸びる梅雨があるんだが。三津田信三さんの新刊をいただく。ありがとうございます。昨日は楽しかったですね…

「週刊読書人」に『首無』の書評

首無の如き祟るもの (ミステリー・リーグ)作者: 三津田信三出版社/メーカー: 原書房発売日: 2007/04メディア: 単行本購入: 9人 クリック: 108回この商品を含むブログ (139件) を見る今週号の「週刊読書人」に『首無の如き祟るもの』の書評が出ていた。評者は…

五十嵐貴久『交渉人』

五十嵐貴久さんの作品を読むのはじつは初めて。すんません。書店で新刊文庫本コーナーをうろうろしながら面白そうな作品を物色していたら、 「この本屋さんイチオシ」といったようなコピーがはじめからオビに印刷されていて、「それって、アリなんだ……」とち…

感激観劇

ありがとうございます。石持浅海さんの新刊です。人柱はミイラと出会う作者: 石持浅海出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2007/05/01メディア: 単行本 クリック: 26回この商品を含むブログ (79件) を見る「パラレルワールドの日本で展開する、奇っ怪な風習と事…

文春書評『首無の如き祟るもの』

今日発売の「週刊文春」で『首無の如き祟るもの』が書評にとりあげられた。評者は千街晶之さん。 (犯人が被害者の首を切る)動機づけは、ミステリー史上に残るものだろう。新刊でありながら既に古典の風格を具えた傑作 あは。ありがとうございます千街さん…

海賊物語

来月、『カリブの大海賊 バーソロミュー・ロバーツ』という本を刊行します。「空前の海賊ブーム」だから、というのはむしろ動機の後ろの方で、それよりも、18世紀のほんとに短い期間、怒濤のようにカリブ海を席捲した「最後の大海賊」について、これはなん…

高野和明『幽霊人名救助隊』

高野和明さんといえばまずは江戸川乱歩賞受賞作の『13階段』。これは「冤罪テーマ」と同時に「時間制限」サスペンスとしても完成しているのにずいぶん驚いた記憶がある。テーマの完成度を惜しむあまり、スピード感がエンターテインメントから離れていって…

黒川博行『絵が殺した』

黒川博行さんの未読もあと少し。絵が殺した (創元推理文庫)作者: 黒川博行出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2004/09/28メディア: 文庫この商品を含むブログ (6件) を見る春になって筍が地面を突き破って顔を出す。顔を出したのは筍だけじゃなかった。筍の…

図説 中国 食の文化誌

3月に刊行した『図説 中国 食の文化誌』の書評が昨日の日本経済新聞に載った。評者は井波律子。図説 中国 食の文化誌作者: 王仁湘,鈴木博出版社/メーカー: 原書房発売日: 2007/03メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (5件) を見る「考古学…

スクラッチ・パッド、飛ぶ

まえから会社のパソコンはグーグル・ガジェットをサイドバーにして使ってる。アナログ型時計とかニュースとか置いてなかなか便利にしていたんだよ。で一緒にメモ帳代わりに「スクラッチ・パッド」というのも置いてあるんだけど、あるんだけど……データが飛ん…

歌野晶午『密室殺人ゲーム王手飛車取り』

歌野晶午さんは、んとにもう、挑戦的な人だ。『葉桜の季節に君を想うということ』で一世を風靡したかと思えば、『女王様と私』ではある意味本格ファンを脱臼させ、んで今年はこれ。密室殺人ゲーム王手飛車取り (講談社ノベルス)作者: 歌野晶午出版社/メーカ…

『ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ!』

満を持してという感じもする第36回メフィスト賞受賞作。オビは島田荘司さんの推薦文で、 「誰もが気づかなかった方法。このジャンルの、文句なくナンバーワン。」ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ ! (講談社ノベルス)作者: 深水黎一郎出版社/メーカー: …

島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞

という新人公募が始まった。島田荘司さんの地元福山市やふくやま文学館が中心になって新しい才能を世に送り出そうという試みだ。 講談社、光文社、原書房の3社が出版協力社となって、毎年順繰りに幹事社が受賞作を刊行することになる。くわしくは、 http://…

悪戦苦闘

といっても僕のことではない。 建築家・安藤忠雄の本である。じつは先日、雨の中を東京ミッドタウンの21_21DESIGN SIGHTへ行ってきた。安藤忠雄展を見たんだけど、その内容は21_21DESIGN SIGHTの建築発注を受けてから出来上がるまでの過程と工程というもの。…

SRの会のベスト10

2006年度「SRの会」ベスト10に、嬉しいことに3作がランクイン。翻訳ミステリの6位にジョン・ディクスン・カー『ヴードゥーの悪魔』ヴードゥーの悪魔 (ヴィンテージ・ミステリ・シリーズ)作者: ジョン・ディクスンカー,John Dickson Carr,村上和久…

消失!

電車を乗り換えて出発を待っていたのだが、なかなか動き出さない。とくに急いでいたわけでもないからぱらぱらと本をめくっていた。 そのうちホームの方がなんだか騒がしくなってきた。どたどたと数人が車掌室へ走っていきなにやら叫んでいる。 「運転手がい…

『百万のマルコ』

百万のマルコ (創元推理文庫)作者: 柳広司出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2007/03/22メディア: 文庫 クリック: 9回この商品を含むブログ (55件) を見る読了。マルコ・ポーロが主人公の連作短編集なんだけど、これは素晴らしいですね。このところ高レベ…

絵解き世界史物語

というシリーズものの編集作業がどたどたと混み合ってきた。 地中海の古代世界を中心にしたフルカラーのヴィジュアル本。『トロイア戦争とシュリーマン』 『アレクサンドロス大王の覇権』 『ローマ帝国の地中海制覇と衰亡』 『アーサー王伝説と騎士団の誕生…

ゲラを娘に読み聞かせ

幼稚園の娘に三津田信三さんの『首無の如き祟るもの』のゲラの一部分を読み聞かせしてみた。 するとこういう絵を描きあげた。序盤のある場面である。なかなかの想像力に驚いたので、アップしてしまいました。 ただ、全文を読み聞かせすると3年くらいかかり…

週末のDVDは『トゥモロー・ワールド』

トゥモロー・ワールド プレミアム・エディション [DVD]出版社/メーカー: ポニーキャニオン発売日: 2007/03/21メディア: DVD購入: 4人 クリック: 77回この商品を含むブログ (291件) を見る一部でカルト的な人気を博しているらしい『トゥモロー・ワールド』を…

新堂冬樹『血塗られた神話』『炎と氷』

ぶっつづけで裏金融と暴力で救いの(あまり)ない物語を読む。ここしばらく「暴力」な作品をずいぶん読んでるよ。鬱屈してるんだろうか? そうでもない。むかし読んだ大藪晴彦の亡霊なんだろう。血塗られた神話 (講談社文庫)作者: 新堂冬樹出版社/メーカー: …

三津田信三『首無の如き祟るもの』

三津田信三さんの新刊『首無の如き祟るもの』は今月下旬刊行を目指していま編集中。昨年の『厭魅の如き憑くもの』と同様、刀城言耶のシリーズなんだけど……。奥多摩に秘守家という代々続く旧家がある。家を絶やさないためには「跡継ぎ」がなにより大切なわけ…