消失!

電車を乗り換えて出発を待っていたのだが、なかなか動き出さない。とくに急いでいたわけでもないからぱらぱらと本をめくっていた。
そのうちホームの方がなんだか騒がしくなってきた。どたどたと数人が車掌室へ走っていきなにやら叫んでいる。
「運転手がいませんっ!」

一瞬、『千代田線運転手消失事件──衆人環視の運転席から忽然と消えた運転手、白手袋だけが残された』とか2時間ドラマっぽいタイトルを浮かべてみたが、
「どこ行ったんだ」
「ダイヤがあれでこうで……。で代わりの運転手を呼びに行ってます」
というところで妄想終了。

それにしても、内輪のアクシデントは大声でしゃべるものじゃないよ。こっそりと動いてくれこっそりと。

そういうなかでいま倉阪鬼一郎さんの新刊を読んでいる。

騙し絵の館 (創元クライム・クラブ)

騙し絵の館 (創元クライム・クラブ)

俗世間のリズムから果てしなく遠い世界の物語。