歌野晶午『密室殺人ゲーム王手飛車取り』

歌野晶午さんは、んとにもう、挑戦的な人だ。『葉桜の季節に君を想うということ』で一世を風靡したかと思えば、『女王様と私』ではある意味本格ファンを脱臼させ、んで今年はこれ。

密室殺人ゲーム王手飛車取り (講談社ノベルス)

密室殺人ゲーム王手飛車取り (講談社ノベルス)

簡単に言っちゃうと、殺人犯たちがチャットでそれぞれ自分の犯した罪をクイズ形式にして解かせるというもの。だから犯人捜しではない。「犯人、オレ/アタシ」だから。どういう意味で、とか、どういう方法で殺したのかをチャットのメンバーに問うわけね。各メンバーの「問題編」があるから一種の連作ミステリではあるんだけど、もちろん歌野さんだからそれだけじゃない。仮想だったものが現実世界に溶け出していくさま、それがじわじわと逆転するところ、やがて双方が落としどころを見つける、のかな? って『ハルヒ』かいっ。