新堂冬樹『血塗られた神話』『炎と氷』

ぶっつづけで裏金融と暴力で救いの(あまり)ない物語を読む。ここしばらく「暴力」な作品をずいぶん読んでるよ。鬱屈してるんだろうか? そうでもない。むかし読んだ大藪晴彦の亡霊なんだろう。

血塗られた神話 (講談社文庫)

血塗られた神話 (講談社文庫)

メフィスト賞受賞のデビュー作。ほかの作品に比べると圧倒的に「優しい」闇金融の社長が主人公で、なぜか彼の近辺で残虐な殺人事件が立て続けに起こる。どうやら自分を狙っているヤツがいるらしい。ところがそいつはなかなか尻尾を出さないのだ……。後の『闇の貴族』のエッセンスなども感じられて面白かったんだけど、ちょっと意外に過ぎる(というか逆にベタな)ある点がちょっと気になりはした。
炎(ひ)と氷 (祥伝社文庫)

炎(ひ)と氷 (祥伝社文庫)

これは九州から東京へやってきた極悪同級生が、ひとりが競馬金融、もうひとりが風俗金融と、それぞれ闇金をはじめ、互いが次第に大きくなっていき、それが臨界に達したとき……という話。なんとなく競馬金融のほうがドラクエでいえば「ヤンガス」、風俗金融のほうが「ククール」といったところかな? で、これがまた血も涙もない物語なんだけど、中学からの親友同士というあり得なさそうな設定がじつはがっちりとした芯になっていて、これが成功の秘訣だったかと感心。

それにしても1週間で5割の利息……。10万借りたら15万。恐ろしすぎの闇社会でした。


三津田信三さんの『首無の如き祟るもの』はあと少し。はあはあ。
そうそう、「祟る」と「崇る」があまりにも似ていて、なかなか気づかなくてたいへんなことになる寸前でした。

というわけで読書は久しぶりにさわやかな? 柳広司さんの『百万のマルコ』へ。しっかしやばいなー。暴力小説に身もだえしたくて新刊がややおろそかに。ま、GWでまとめ読みだね。ってその頃はAさんの原稿チェックの予感が……。
働けオレ。