『檻の中の少女』一田和樹さんからみなさんにメッセージ

島田荘司選 第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作、
深木章子さんの『鬼畜の家』、一田和樹さんの『檻の中の少女』
それぞれ無事、見本が出来上がってきましてね、週明け25日発売という感じになりました。
ゲラの時点で読んでいただいたミステリ系某書店員さんも絶賛、なんだか大きく展開していただけそうでありがたいことです。

さて、その『檻の中の少女』の一田和樹さんからみなさんへ作品の紹介方々のメッセージをお預かりしましたので、
ここで紹介します。

この世の生を捨て新たな世界に転生するためのインターネットサイト「ミトラス」。そこには多数の自殺希望者と、自殺者の相手をして金を受け取る者が集っていた。「ミトラス」は、送金を仲介することで多額の利益を得ていた。

物語は、このミトラスによって、一人息子を自殺に追い込まれた資産家の老夫婦が、腕利きのセキュリティコンサルタントにしてハッカーである主人公に、ミトラスの運営者を探す依頼をしてくるところからはじまる。
依頼を受けたのは、一匹狼のサイバーセキュリティコンサルタント、君島悟。
彼は、他のサイバーセキュリティ専門家とは違っていた。技術の専門家ではなく、ソーシャルエンジニアリング、だましの専門家なのである。
ソーシャルエンジニアリングとは、言葉巧みにパスワードを聴き出したり、公開されている資料からシステムの欠点を推理したりといった、技術に頼らないハッキング全般を指す。ハッキングというと技術的なイメージが強いが、実際にはソーシャル・エンジニアリングと組み合わせなければ役に立たない。

調査を始めた君島悟は、不気味な現実と直面する。ごく普通の人間が「ミトラス」に登録し、自殺者から金を受け取っているのだ。そこにはなんのためらいも不安もない。君島は、人の生死を軽く扱う彼らに違和感を覚える。驚くべきことに君島の恋人もまた「ミトラス」に登録し、自殺者から金を受け取っていた。
困惑する君島の元に、美しいが性格劣悪な少女が助けを求めてやってくる。謎の男にストーキングされているのだという。

幾重にも張り巡らされた謎と罠をかいくぐり、最後に君島がたどりついた真実は、予想を超えたおぞましいものだった。そこには、檻の中にとらわれた少女の長い物語があった。


できるだけリアルな設定と描写を心がけました。そのために株式会社ラック取締役常務執行役員サイバーリスク総合研究所所長西本逸郎様、セキュリティフライデー株式会社代表取締役佐内大司様、株式会社ネットセキュリティ総合研究所取締役高橋潤哉様様といったサイバーセキュリティ業界の重鎮のみなさまに査読していただきました。
この小説に登場する全ては、その気になれば実際に行えるものばかりです。
派手なハッキング合戦はなく、ネットを使っただましあいを中心に描きました。サイバーセキュリティにくわしくない方でも楽しんでいただけると思います。

背景となるネット業界は、私自身は最近まで経営者として属していたこともあり、必要以上にリアルに書けたのではないかと自負しております。

みなさんに楽しんでいただければ幸いです。

檻の中の少女 (a rose city fukuyama)

檻の中の少女 (a rose city fukuyama)



映画「少女たちの羅針盤」取材プロモーションが名古屋の伏見ミリオン座でありまして、
水生大海さんに一日同行してきましたよ。
その模様を記した「オレ、はじめて生しゃちほこチラ見したよ」は近日アップ予定!