アントニイ・バークリー『パニック・パーティ』

アントニイ・バークリー『パニック・パーティ』はごぞんじロジャー・シェリンガム最後の事件。
物語に入る前に、こんな文章がある。

  ミルワード・ケネディ殿

かつてぼくに対して、「推理」のみを主題とした小説を書いてくれという穏やかな挑戦状を公開したことがあったね。だがぼくとしては、そのようなテーマには興味がないのでお断りさせてもらうよ。その代わりに、きみの要望とは正反対と言える本書を進呈しよう。ぼくらが所属する謹厳実直なるクラブが定めたルールをことごとく破っているので、おそらくぼくはクラブを除名となるだろう。また本書をいくらか縮めた作品は、人気雑誌に掲載を断られたよ。「読者の興味を満足させていない」と。本書の後半のある女性の科白ではないが、「人生は思い通りにはいかないもの」だね。

アントニイ・バークリー

バークリーらしい、というかすげープライドというか。

こんな感じのカバーになります。

物語はざっくりいうと、無人島に集められた十数人の男女(シェリンガム含む)。
最初はけっこう和やかだったんだけど、ホストの一言から空気がざーっと変わってしまう。
「このなかに、殺人者がいる」

ここから悲劇は転がっていき、シェリンガムですら「暴走」を始める。
「人生は思い通りにはいかないもの」だから。

10月半ば刊行の予定です。