朝日新聞で書評『写真で見る ヒトラー政権下の人びとと日常』
5月2日の「朝日新聞」書評欄で逢坂剛さんにご紹介いただきました。ありがとうございます。
先日の「週刊文春」立花隆文春図書館でも本書の写真の魅力に言及されてまして、だったらここでも少し写真の紹介をしようかなと、遅ればせながら(笑)、GWあけの初仕事。もう午後だけど。
これは強制収容所の「囚人」たちにタバコを配る親衛隊幹部。虐待なんてしてませんよという宣伝用の写真。
ナチス党員の家族。装いから察するに中流以上のドイツ人家族なんだと思う。こうして積極的な支持者が増える一方で、「ちょっと待てよ」とナチスとの関わりを極力さけようとする国民も少なくなかったという。
ヒトラー・ユーゲントの少年たちが機銃の発射訓練を見学。「おおっ」という声が聞こえてきそう。なんだか楽しそうだ。それは素朴に理解できる。だがナチスは将来の兵役に備え、彼らに少年時代から武器に触れさせ、慣れ親しむことを目論んでいた。
「非ドイツ的」な書物などを没収した学生とナチス党員。焚書である。いまでいうネット遮断か。
歓喜力行団(唯一の合法労働組合「ドイツ労働戦線」の下部組織でドイツ人労働者の娯楽担当部局)が主催した子供海水浴大会? ここでは低料金の旅行などの企画があってとても人気があったという。
その同じ時期、ユダヤ人は通りの掃除のために駆りだされている。服にはダビデの星。
連合国軍の空爆で瓦礫となった住居を眺めるドイツ人家族。この時期にあってこの家族の装い。きちっとしたスーツ。しっかりとした逃げ場所が確保されていたんだろう。こういう家族の戦後はいったいどのようなものだったのか、考えてしまう。
というような感じで約280点。本文で概観、そして写真で詳細と想像という読み方になるんだろうと思う。
- 作者: マシュー・セリグマン,ジョン・ダヴィソン,ジョン・マクドナルド,松尾恭子
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 2010/03/15
- メディア: 単行本
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