『少女たちの羅針盤』が「週刊文春」で

今週号の「週刊文春」で『少女たちの羅針盤』が取りあげられましたよ。
千街さんのミステリーレビュー。

四人の女子高校生の人間模様を描いた過去のパートは、瑞々しい青春小説として出色。(…)構成の勝利とも言うべき小説

ありがとうございます千街さん。
先月の『リバース』もそうなんだけど、四六判ハードカバーのミステリー・リーグとはちょっと違った色合いの作品もときどきは出していきたくて、それが『少女たちの羅針盤』にもうまくはまった感じがしていて、どうにか広く読まれて欲しいと願っているのですよ。

少女たちの羅針盤

少女たちの羅針盤

今年もそういう作品たちに出会えるといいなあと、いま第2回の選考中。がしがし読んでますよ応募原稿を。冷房の効いたドトールで。
本もいろいろと読んでるんだけど、感想とかをここであんま紹介していなかったから突然再開するのもなんかアレな気がして数か月。「ベスト10」が終わったあたりからちまちま残しておこうかな。

そんなわけで今年はコナン・ドイル生誕150年。新刊も出ましたよ。
シャーロック・ホームズの大冒険』(上)

シャーロック・ホームズの大冒険 上

シャーロック・ホームズの大冒険 上

これは知る人ぞ知るThe Mammoth Book of Sherlock Holmes Adventures の邦訳で、原書があまりにも大きいので二分冊にしました。下巻は年内刊行を目指して。これはいわゆる「語られざる事件」の解釈を中心にしたかなり「正統派」のパスティーシュで、安心して面白がれますよ。……あ、なかには「無茶な」作品もあるけどね、うん、許す。
それからもうひとつは
シャーロック・ホームズ わが人生と犯罪』
シャーロック・ホームズわが人生と犯罪

シャーロック・ホームズわが人生と犯罪

こっちは純粋な新刊じゃなくて、10年くらい前に刊行して版を重ねて品切れ気味だった『シャーロック・ホームズの謎』をこの機会に新装しようと。
で、タイトルも原題に合わせて「記念復刊」ということで。これは少し特殊な作品で、シャーロック・ホームズの一人称による「自伝」の形式になっている。そこに浮かび上がるのはワトスン視点との認識の差で、それがほんとうに面白い。それからモリアーティ教授とライヘンバッハの滝に突っ込んでワトスンを落ち込ませてから「空き家の冒険」で突然戻ってくるまでの三年間──大空白時代──の詳細を綴っているんだけど、これが意外でかつ説得力もあり感心もし、いやびっくりだよ。

夏休み、こういうのもお手にとってみてくださいな。