今月の新刊は二階堂黎人&門前典之

そういうわけでもうすぐ梅雨も明けそうな。
今月はミステリー・リーグから2冊。

まず二階堂黎人『鬼蟻村マジック』(おにありむらマジック)。

鬼蟻村マジック (ミステリー・リーグ)

鬼蟻村マジック (ミステリー・リーグ)

宴席の最中だった。とつぜん部屋の中に入ってきたのは「鬼」──祭で使う鬼の面をつけ蓑笠をまとった「鬼」だった。
鬼はいきなり客に斬りかかり、部屋を飛び出していった。
そして行き止まりの別の部屋に入ったところで、幻のように消え去ったのだった。
それから七十年、「鬼」はふたたび現れ、人々を惨禍に巻き込んでいく。
畳みかける不可能犯罪に水乃サトルが挑む。書き下ろし長編本格推理。

という物語なんだけど、水乃サトルシリーズでははじめての架空の場所なんですね。信州の山間の村という設定でそこに古くからある酒蔵が舞台。一族の家督争いにサトルが半ば巻き込まれ、そのうえに新たに「火薬」が投入されて暴発──不可解な事件が起こって……。
んでこの表紙の写真なんだけど、チェコの人形作家による木彫りの操り人形で表情といい形といい、けっこうずばりと来た感じがする。

そして門前典之『浮遊封館』(ふゆうふうかん)。

浮遊封館<ミステリー・リーグ>

浮遊封館<ミステリー・リーグ>

全国で「死体が消える」という不可解な事件が続発していた。
犠牲者の数が130人ぶん足りない飛行機墜落事故。
監視者の目前で次々人が減っていく宗教団体。
また、行旅死亡人ばかりが火葬されずにどこかへ運び込まれているらしい……。
さまざまな謎がやがて一本に繋がるとき、底知れぬ異形の論理が浮かび上がる。

鮎川賞受賞作『建築屍材』以来7年ぶりの「受賞後第一作」。ハイジャックされた航空機の乗客と犯人たちの様子から物語は始まる。上にも記したように死体とか信者とかがいなくなっていくんだけど、この「底知れぬ異形の論理」には背筋が凍る。