福ミス受賞作もうすぐ刊行だ!

すでにほうぼうで話題になっている
島田荘司選 第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作。
外回りも出来上がってそろそろと紹介していきたいと思います。

深木章子(みきあきこ)『鬼畜の家』


「おとうさんはおかあさんが殺しました。おねえさんもおかあさんが殺しました。おにいさんはおかあさんと死にました。わたしはおかあさんに殺されるところでした……」
保険金目当てで家族に手をかけてゆく母親。その母親も自動車もろとも夜の海に沈み、末娘だけが生き残ることになった。
母親による巧妙な殺人計画、娘への殺人教唆、資産の収奪……
信じがたい「鬼畜の家」の実体が、娘の口から明らかにされてゆく。

というような文言をオビに入れたんだけど、この先はぜひお手にとって読んでみてください。
何人かの書店のミステリ担当の方にゲラを読んでいただいてるんだけど、
「新人離れっていうかベテランの筆致、すごい!」といった感想が聞けてほっとしたり。



一田和樹(いちだかずき)『檻の中の少女』


「息子は自殺支援サイト『ミトラス』に殺されたんです」
サイバーセキュリティ・コンサルタントの君島のもとへ老夫婦が依頼にやってきた。自殺したとされる息子の死の真実を知りたいのだという。息子はミトラスに多額の金を振り込んでもいたらしい。
ミトラスは自殺志願者とその幇助者をネットを介在して結び付け、志願者が希望通り自殺出来た際に手数料が振り込まれるというシステムで、ミトラス自身はその仲介で多額の手数料をとるのだという。
さまざまな情報を集め、やがて君島が「真相」を解き明かし、老夫婦の依頼に応えたとき、これまで隠されてきたほんとうの真実(エピローグ)が見え始める──

というこちらの作品はうってかわってややライトタッチのハードボイルド。「マッチスティック・メン」のニコラス・ケイジを思わせるような主人公、態度のでかい女子高生、Sキャラの恋人……。
サイバーセキュリティのプロが描いたその世界は欲望と匿名性が相俟って底知れない。


こうしたまったくタイプの違うふたつの作品、是非お手にとってみてくださいませ。
4月25日発売予定でっす。