本格落語ミステリーの真打ち登場!

という惹句で出てます。

道具屋殺人事件──神田紅梅亭寄席物帳  [ミステリー・リーグ]

道具屋殺人事件──神田紅梅亭寄席物帳 [ミステリー・リーグ]

愛川晶さんの久しぶりの書き下ろし新刊。江戸情緒溢れる人情ものの側面もあって、ほのかなユーモアも捨てがたいこの作品は、文字通り「落語」+「ミステリー」の直球勝負です。
「落語ミステリー」は、大倉崇裕さんや田中啓文さんの人気シリーズにもなっていて、もうジャンルといってもいいくらいの数の作品が出てきている。もともと親和性も高いのだと思うし、作家さんにも落語好きはほんとに多い。
そんななかでこの『道具屋殺人事件』は、「落語を演じることで、それが安楽椅子探偵にもなっている」、という点が特徴なんだと思う。主人公のキャラクター設定とか雰囲気作りに終わらないから、落語世界の描写が物語りそのものに大きくからんできている。落語じゃないとこの「事件」は語れない、という必然性もよくわかって、しかもぼくのような素人にも理解できるように描いているから、ほんとうにこれは楽しめちゃった。「落語が好きになってしまうかも知れない」、そんな予感もさせた一冊でした。